別の投稿記事「防犯だけにあらず、ガーデンライトであなたのお庭にアクセントを」で、可とう管にケーブルを通すには「通線ワイヤー」を使うことを紹介しました。
可とう管と通線ワイヤー
・可とう電線管とは電線・ケーブルを収容、保護する合成樹脂製の管で、長尺で軽く簡単に曲げられるものです。
・通線ワイヤーとは可とう電線管に電線やケーブルを手際よく通すためのガイドです。
(注)可とう管にはガス用、水道用もありますが、ここでは電線用に限定して以後「可とう管」で通します。

通線ワイヤーというのは、管の中に電線やケーブルを通すときに電線などをガイドするスチールのワイヤーのこと



電線やケーブル単独だと腰が弱いから、途中で折れたり撚れたりして詰まってしまうことが多いんだ
可とう管にケーブルを通すのは結構むずかしいもの
電線やケーブルを保護するための可とう管ですが、この管に電線・ケーブルを単独で手送りして押し込める長さは、その太さにもよりますがせいぜい5メートル位が限度です。やっていると結構イライラします。
そこで登場するのが通線ワイヤーなのですが、職業にしている方は別として通線ワイヤーなどは普通持つことはないし、多くの方はわざわざ買おうなどとは思わないでしょう。
実はこの道具を使わなくても簡単にケーブルを通す方法はあるんです。



え、どうやって?
通線ワイヤーを使わずに可とう管にケーブルを通す方法
掃除機で吸い出す
「押してもダメなら引いてみよ」というではありませんか。
簡単なのは掃除機で吸い出すのです。ケーブルを??
いやいや。ケーブルを吸い出すのではありません。まず軽いビニル紐などを吸い出して通します。
軽いビニル紐は特に空気の流れに乗りやすいので、結構通っていくものです。紐が通ったらその紐にケーブルをつないで引き出すのです。
掃除機のホースを繋ぐなど前準備がちょっと面倒かもしれませんが、難しいことではありませんのでやってみましょう。
通線ワイヤーの代わりにビニル紐と電気掃除機を使う
道具は普通の家庭にあるものです
電気掃除機 ビニル紐 ハサミ 布テープ あと必要に応じてポリ袋、厚紙等々




掃除機はポータブルタイプの物でも構いませんが、吸い込み口の形状によっては付属の適当なノズルを使用します。
掃除機と可とう管を接続する際、通常お互いの口径が異なるので、空気が漏れないように工夫します。
簡単なのは、ビニルや厚紙などで両方を包み込むようにしてテープでしっかりと留めることです。
手順を次に記します。
この作業が一番面倒かもしれません。逆に言えば、これが出来れば終わったようなものです。
可とう管と掃除機のホースをつなぐと言っても、形あるいは大きさが異なりますから工夫が必要です。
要は空気が漏れることなく吸い出すことができればOKです。




口径の大きい掃除機のホースに可とう管を入れ、隙間を覆うように布テープで留めます。
上図はテープのねばねばがホースに付くのではと思いビニルを当てましたが、長時間ではないので直接布テープで留めても心配はあまりないようです。
ビニルはスーパーの買い物袋でOKです。




ポータブル型の場合はノズルの形によっては工夫が必要です。一方に差し込めない形状や口径の場合は、厚紙などで両方が一直線になるように固定してテープで留めるのが良いと思います。
上図はトイレットペーパーの芯で両者を覆ったものです。隙間はテープでカバーします。要は空気が漏れなければOK。
管の中が見えないのでビニル紐をどこまで吸い込んだのか分かりませんね。念のためにビニル紐に目印を付けておいた方がいいかもしれません。
可とう管の長さ+1メートル位の所にマジックでマークするとかリボンを付けるなどしてみましょう。
掃除機をオンにし、可とう管の反対側からはビニル紐を送ります。


なおビニル紐の先端は図のように一部をばらしたり或いは団子にしたりして抵抗を大きくすると吸出しが容易になります。
吸い込みが悪いような場合は、紐を管に送り込むように少し手伝ってやると後はストレスなく進んでいきます。
紐の先端が掃除機に達したら可とう管を掃除機から外し、紐とケーブルをつなぎます。
ビニル紐の後端に最初からつないでおくのもいいでしょう。
長くなるほどつなぎ目にかかる力が大きくなります。つなぎ目が移動するときに管の内側に引っかからないようできるだけ角が無いようにしてください。


ケーブルと紐をつないだらゆっくりと紐を引きます。この時管内の摩擦を少しでも少なくするために管はできるだけまっすぐに伸ばしておきます。


つなぎ目が出てきたらケーブルを持って引き出します。作業の途中なにかのはずみで引っ込んでしまうかもしれません。ある程度の長さを出しておき、結び目でも作っておきましょう。
作業はこれで終わりです。
既設の可とう管にケーブルを通す場合
すでに屋内に設置済みの可とう管に新たにケーブルを通すことも十分あり得ます。
1 ケーブルを追加する場合
すでにケーブルが通っている可とう管にもう1本追加する場合は、管内が狭くなっているのでこの方法はやってみる価値はありますが上手くいくかどうかは何とも言えません。可とう管の口径には注意してください。
むしろ現状のケーブルは捨て、追加分を含む2本のケーブルを新たに通すことも検討したほうがいいのではないかと思います。
その際はここでいうリードのビニル紐の代わりに旧ケーブルを利用する方法が簡単でしょう(次の項目を参照)。
2 ケーブルを張り替える場合
古いケーブルを除去し新規に張り替える場合は、この古いケーブルに新ケーブルをつないで引き出すのも一つの方法です。
以前我が家の1階から2階までは可とう管に電話ケーブルが敷設されていました。この電話ケーブルをこの方法でLANケーブルに交換したことがあります。
ただし途中で外れたらハイそれまでよという感じです。その時はこの掃除機吸出し方法が力を発揮することでしょう。
3 可とう管の長さに余裕があるか
上記の方法ではなく掃除機吸出しで行う場合、掃除機を繋ぐための長さ分だけ可とう管を壁から引き出す必要があります。
しかし壁面ギリギリの長さしかない場合は無理かもしれません。
取り扱うケーブルが電灯線(100ボルト)の場合でコンセント等への接続を伴う場合は、電気工事士の資格を要します。


(おわり)